こんばんは。キタダハルキです。
この人、歌下手だね…。
こういうことを言ったり、耳にしたりすることって、あると思うんです。
かくいう私も、自分自身がバンドの中でメインでやっていたのはボーカル。それゆえに自分の技量はともかくとして「音楽を聴いたときに耳に入ってくる割合」が多いのもあって、正直、上手い下手に関して自分なりの基準はあるし、そういう会話をしたこともあります。
ただ、歌自体が下手だったとしても、聴くものを説得するパワーがある、って現象は存分にあると思っていて*1。
今日はそういう「歌の説得力」を感じるアーティストを紹介していきたいと思います。
■メロディのピークと衝動性の合致。(ASIAN KUNG-FU GENERATION)
最初に思いついたのが、もはや大物になりましたけどもアジカン。
これ、やっぱり歌が上手いとは違うと思うんですよね。ピッチは怪しいし喉もすぐ傷めそうで、少なくとも、私自身は同じ歌い方したらたぶん2曲と歌えない可能性が高いと思います。ちなみに、たしかロキノンでしたかね?インタビューでゴッチ氏自身がレコード会社の方に「君、歌下手だね」って言われたって話を見た気が…
だけど、メロディのピークと衝動性が合致しているから、聴いていて心が揺さぶられる感覚、やっぱりあるんですよね。そういうところがメジャーデビュー直前にして「NARUTO」のタイアップを勝ち取った面にもつながっていると思いますし。
この後、アジカンはロックバンドとしては巨大なセールスをあげながら、だんだんテクニックも上がっていったバンドですが、歌としての好みとしては初期の「衝動がパッケージされている」このころかなーと個人的には思っています。
■言葉と歌に、全くずれがない。(銀杏BOYS)
続いてはこちらも大物、銀杏BOYSですね。
もう、銀杏BOYSに関しては歌だけでなくバンドとして化け物のようなエネルギーが渦巻いているので「ドンピシャ」か「受け付けない(受け止めきれない)」か二択って感じかなと思います。
ただ、私が思う銀杏BOYSのボーカル・峯田和伸氏のすごいなーって思うところは…言葉と歌に全くずれがないところ。言いたいことと歌がガチっと重なっているから、爆発的なパワーがあるんやと思うんですよね。それこそ、聴いてる中で気づいてたら泣いてたって話を聴いたのは一度や二度ではないです。
好みはものすごく分かれると思いますが、一度試しに聴いてみてほしいと思います。
■「この声を活かしたい」というプロデュース。(My Little Lover)
続いて、少し毛色が変わりますが…
my little loverのAKKO氏もテクニックよりも説得性、だと思っています。
声としては細いと思うし、歌単体としてだけ見ると、テクニカルとは言い難い面もあると思うのが個人的な印象ではあります。
が、この曲に関して、というか、マイラバのサウンドは「この声に合った」空気感になってますよね。ポップなサウンドだけど曲が声とぶつからないようにわざわざ空間を空けている感じというか。そこがプロデューサー・小林武史氏のすごいところ*2だと思います。
そのことが、AKKO氏の声を浮かび上がらせて「残る」声として世に知らしめることになったのかなーとか思ったりしますね。
↓このアルバムは全体にその傾向がありますね…
■「苦しい」んだから、苦しそうでいい。(鬼束ちひろ)
女性アーティストをもうひとり挙げると…
鬼束ちひろ氏も説得性が中心になっているかなーと思います。
ほとんどの発声が胸式呼吸*3で行われていて、苦しそう…と思うことも多々あります。
が、この曲もそうですけど鬼束ちひろ氏の歌詞ってかなり「苦しみ」がにじみ出てると思うんです。
I am GOD'S CHILD
この腐敗した世界に堕とされた
How do I live on such a field?
こんなもののために生まれたんじゃない
(月光より)
だからこの歌がベストって思うんです。だって苦しいんだし。
だけど、その中で自分で立つぞ、立ってやるぞっていう意志のようなものも感じる…そんな声だと私は思うんですよね。今聴いても名曲ですよね…。
■私は日本のオジー・オズボーンだと思う。(筋肉少女帯)
これも少し毛色が特殊かもしれませんが…
筋肉少女帯・大槻ケンヂ氏も「うまいわけじゃないけど、この声だからこそ」だと思うアーティストです。
いまの時代だとこの曲もなんか言われる*4んですかね…。
それはさておき、大槻ケンヂ氏の歌は本当に独特というか…とにかく耳に残る。そこが技術やらなんやら、すべてを凌駕するぐらい価値の大きいものだと思うんです。
そのビジュアル・楽曲の世界観もあいまって色モノのような見られ方はかなりしていると思いますけど、バンドアイコンとしての機能性や、メンバーに恵まれる資質なども含め、個人的には「日本のオジー・オズボーン」なんじゃないか。そう思うんですよね。
■まとめ:一回聴いたときに「爪痕」を残せるかどうか。
ということで、歌の説得性のお話しでしたが…
今回は邦楽のアーティストで固めてみました。やっぱり現状、まだまだ邦楽の方が判断しやすい面もありますね…。洋楽編もやってみようかな…。
しかし、やっぱり一回聴いたときに爪痕残せるかは本当に大事なんやと思いました。そうじゃないとやっぱりキャッチしきれないんやなと…。今回の5名はいずれももう「大物」の地位まで来てるようなアーティストですもんね…。
あなたは、歌うまとは違うけど「説得力」すごい、ってアーティストで、誰を思い浮かべますか?
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