こんばんは。キタダハルキです。
今日はパチッと目覚めて、もう8月も最後なんかぁ…とぼんやりもしていたんですが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。
さて、今日は購入物レビューになります。
今日のキーワードは…【土台が鬱の中に、たまに現れる精いっぱいの躁】。
それではレビューしていきたいと思います。
■Closer/Joy Division(1980)
マンチェスターのポストパンクの祖…といってもいいバンド、ジョイ・ディヴィジョンの2ndにして、イアン・カーティスのアメリカツアー出発前日の自殺による解散前、最後のアルバムです。
もう…上記『Atrocity Exhibition(M-1)』の呪術的なビートからも伝わると思いますが、暗く陰鬱でデッドなサウンドで、うごめくようなイアン・カーティスのボーカルにはゾッとするものを感じますね。彼はこの制作中に『渦に巻き込まれ、引きずり込まれ、溺れ死にそうな、恐ろしい閉所恐怖症のような感覚に襲われている』と語っていたそうで、歌詞も強迫観念にあふれていますね。
聴き味のイメージとしては…土台が鬱の中に、たまに現れる精いっぱいの躁、というようなきわめて不気味ながら、怖いもの見たさで覗きたくなるような感覚がずっとあるんですよね。決して聴きやすいとは間違っても言えないけれど、オリジナリティはすぐに感じるはず。
ちなみにこの独自性あるマーティン・ハネットによるプロデュースワークはきわめて高い評価を得たものの…バーナード・サムナー(Gt.)とピーター・フック(Ba.)はミックスに不満があったそう(もしかしたら『Twenty Four Hours(M-7)』か?たしかにもっと激しくても不思議じゃないタテ乗り感はある。ちなみに当アルバムで一番聴きやすい曲…と個人的には思っています)。
…とまぁ、こういう記述をしてきたことからも明らかとは思いますが、万人にはさすがに勧めがたい作品ではあります。ストレートな見方をすればバンド全体の演奏技術不足も感じると思いますしね。
ですが、それゆえ?と言ってはなんですが…もはや再現不可能な、誰にも到達されない極致の独自性にたどり着いていると思いますし、彼らの作品数の少なさも相まってハマるとずーっと聴く作品になると思います。
■終わりに:ギリギリで切迫したフィーリングが形として残った、という事実。
レビューは以上になりますが…
ジョイ・ディヴィジョンは…それこそ名盤リストやらで音楽を勉強していると現れるわかりやすい壁のひとつかもしれませんね。一聴しただけだとアリなのか?これは…と思うこともあるでしょう。
ですが、このギリギリで切迫したフィーリングが形として残った、という事実はとても貴重なものだと思うんですよね。チャレンジはしてみてほしい一枚です。
それでは、今日も最後までお読みいただきありがとうございました。
もし気に入っていただけましたら、もう一記事、読んでいただけると嬉しいです。
★Joy Division・時系列レビュー
↓1st(前作)のレビューはこちら。脳裏に焼き付くような、内面から突き破るようなパフォーマンスの衝動性。一度目にしてしまったらもう忘れられない作品。
★関連(個人的お勧め含む)作品
↓『Isolation(M-2)』が『Atrocity Exhibition(M-1)』をミックスしたアレンジでカバーされています。ちなみにセラピー?はオルタナメタルのバンド。ジャンル違いながら大きな影響を感じますね…
※前回の購入物レビューはこちら。そういえば、彼も自分自身のアイデンティティに深く向き合う人生でしたよね…

