ヘヴィメタルの、原点。
Paranoid/Black Sabbath 1970年9月18日
War Pigs
Paranoid
Planet Caravan
Iron Man
Electric Funeral
Hand of Doom
Rat Salad
Fairies Wear Boots
ブラックサバスとの出会いは大学2回生のころ。
当時は「名前は知っているけど、ちゃんと聴いたことの無い音楽」の代表格のような感じでしたね。オジー・オズボーンも、奇行めいた部分(某動物をステージ上で喰った話とか)だけはなんとなく知っていたけど、アーティストとしてのうんたらかんたらは、マジで何も知らない、っていう状態。
私、大学では軽音サークルやってたんですけども…たしか夏の合宿でブラックサバスをコピーするバンドがいましてね。で、そのボーカルの子(後輩)が相談に来たんですよね。確かその子はどっちかっていうと「ポップス」指向が強くて、それこそその当時の私以上に、ブラックサバスについては馴染みがなかったようなんですよ。
「もう、ぜんっぜん歌詞を訳しても意味がわからなくて…どうしたらいいんすかね?」
その言葉と共に歌詞のメモ書きを渡されたんですが、その内容がコチラ。
Has he lost his mind
Can he see or is he blind
Can he walk at all
Or if he moves will he fallIs he alive or dead
Has he thoughts within his head
We’ll just pass him there
Why should we even careHe was turned to steel
In the great magnetic field
When he travelled time
For the future of mankind(Iron Man/Black Sabbath)
直訳したら、ほんとなんのこっちゃ、でしたね。なんというか、かろうじて「頭がおかしいのはわかる」って感じ(苦笑)
※歌詞の邦訳が以下のサイトにありました。うん、そりゃ分からんと思いましたね(笑)
日本語サバス その3 - Music Network Corporation
で、こんときは歌詞について話しただけだったので、曲は聴いてなかったんですよね。発表本番までのお楽しみって感じでね。一体、この歌詞にフィットするのってどんな曲やねん、と。
…そして迎えた本番。この曲が流れだしたときに、私は戦慄したんです…
■なんやこの曲…怖すぎやろ…
なんやこの曲…怖すぎやろ…
イントロのバスドラからは「怪物が迫ってくる」ような恐怖、単音ベンディングのギターリフからは怪物の声を聴いてしまった故の「振り返ったら死ぬ」ぐらいの恐怖が襲い掛かってきます。ただ、脳の仕組み上、恐怖と快楽は近くに結びついているらしく、もっと聴きたい…とキャッチされたんですよね。そのライブはもうかぶり付きで観てましたね。
ただ、そのライブ一回で音源を手に入れたりすることはなく、ブラックサバスからは離れていたんですよ。それから2年ほど経ったある日に何の前触れもなく急に思い出して、「あぁぁ、あの曲が聴きたい!」ぐらいの衝動がやってきて、レンタルショップに走ったのを今でも思い出しますね。
で、恐怖という点ではオジーの声も一役買ってますよね。ボーカルの単純な技術で言ったら全然緩いけど、たぶんこの曲は上手すぎたらこの「不気味さや恐怖」っていうバンドのテーマが表現しきれなかったんじゃないかなと思います。
オジーだからこそ、だと私は思いますね。
■メタルの父と呼ばれるにふさわしい一枚。
そんで、後から知って驚いたのが、このアルバムが1970年発売だってこと。それなのに音質がそれこそ「異常」とも思えるぐらいイイということ。同年発売のデビューアルバムはさらに音質がいいです。1年に2枚もこのクオリティのアルバムは凄すぎますわ。バンド全体の世界観づくりの上手さも相まって、そりゃ、メタルの父とも呼ばれますよね。
※私はレコーディング技術にはなーんにも詳しくないですが、それでも「んっ!?」って思うほどですからよっぽどやと思います。
ちなみに、現在この曲は私の「ギターのペンタトニック」練習用の曲としても活躍しています。ホント、基本通りなんですけどカッコよくてギターソロに飽きないんですよね。
またしても一曲に思い切りエネルギーを割いたために、「Paranoid」などを取り上げる暇がなかったですね。これもまた、機会を改めて追記する形でお話しできたらと思います。
■まさか、パンクの父でもあるんか…?
さて、元のこの記事を書いたのは'16年。追記を9年越しにすることになろうとは…笑。
当アルバムの中でも非常に重要度が高い一曲として…やはり『Paranoid(M-2)』は外せないところなんですよね。
というのも、私は後世になって聴いてるので…ファーストフィーリングとして、なんか、パンキッシュな曲やな…とか思ったわけですね。
でも、このリリースは1970年。オリジナルパンクの隆盛は'70s後半。ということは…?
…まさか、メタルだけではなく、パンクの父でもあるんか…?という戦慄もありましたよね。
ほんとね、このシンプルな中に焦燥感といいますか…歌詞も恋愛の悲嘆と自らへの絶望が素直につづられたもので…この率直なマインドは、パンクにも確かに受け継がれていると思うんですよね。
■終わりに:同じ年に、とんでもない2枚をリリース…
レビューはひとまず以上になるんですが…
改めて振り返ってみて、同じ年にとんでもない2枚をリリースしたんやなぁ…と…。いやぁ…。
この2ndに関して言えば、特にギターを始めようって人に聴いてみてほしいですかね。
有名な曲で、すぐに弾けるところもあって、サマになるけど、でも深淵にはたどり着けない…みたいな感じで、のめりこんでいける一枚だと思います。
それでは、今日も最後までお読みいただきありがとうございました。
もし気に入っていただけましたら、もう一記事、読んでいただけると嬉しいです。
★Black Sabbath・時系列レビュー
↓前作(1st)はこちら。闇の帝王のテーマです、って言われたら即納得する説得力。ヘヴィメタルの誕生した瞬間です。音が驚異的な一枚。

