中二病から「生還」できたのはこの一枚のおかげ。
delayed/syrup16g 2002年9月25日
センチメンタル
Everything is wonderful
Reborn
水色の風
Anything for today
キミのかほり
Are you hollow?
落堕
愛と理非道
Untitled(@シークレットトラック)
このブログを始めるにあたって、やっぱり私の人生を変えた一枚、ってことでこのアルバムを紹介しないわけにはいかないですね。
私のプロフィール記事を読んでくださった方はご存知かもしれないですが、私は中二のときに「ザ・中二病」といった状態でした。学業こそ順調ではあったものの、人間関係は荒れ放題。不良のちょっとしたいたずらに過剰に反応し、カッとなって殴りかかりに行き、教師に止められても怒りは収まらず…。家のカベも蹴り飛ばしてへこませ、その数日後には「誤解」から友人を授業中に殴ってしまい、完全にクラスの中で浮いてしまい(噂が広がり、部活でも上手くコミュニケーションが取れなくなった)、学校での居場所は本当になくなっていたわけです。
ただ、惰性に任せて時間が過ぎるのを待って、そのまま白い目線(自分が勝手に感じていただけかもしれないが)に耐えながら、日々を過ごす…
で、やっぱり苦痛でしたから、だんだんと学校を休みがちになったんですよ。頭痛い、気分悪い、っていう「客観的にはわからない指標」を使ってね。特に3学期は逃げ回るように学校をちょっとしたことで休んでいたんですよね。
そんな中、私の道を開いてくれたのがこの一枚。特に「私の人生にダイレクトにかかわった」3曲をご紹介します。
■「妄想気味のロンリーガイ」が、「妄想」を止めたきっかけ。
こちらは冒頭からいきなり心をえぐって来るウェットなのに鋭さもある楽曲です。どうしようもなく暗いし、内面が「暴れている」のが伝わってくる楽曲です。
通信簿に書かれたよ
協調性に欠けてます なんて
妄想気味のロンリーガイでも心が痛い
たまに届かなくて
ひどい時は泣いて
いいね もう(センチメンタル/syrup16g)
そういえば、中二のときはずーっとこんな思いを抱えていたなぁと思います。周囲から孤立こそしていたけれど、一見真面目にやってる風だったし、教師陣から協調性は「ある」と表面上は評価されていた私ですが、実際のところは体面だけ整えて心の中では「ケッ」って思っていましたもんね。分かられてたまるか、みたいなね。
でも、やっぱり悲しかったんですよね。内情を分かってもらえず、いわば「分かってもらえていることを妄想」し、その部分を中空に浮かべて愉しむような形で自分の心をごまかし続けることがね。ただ、このことが悲しいって気づけたから、変わろうって思えた部分も大きいんですよね。分かってもらおうと思ったら、妄想だけじゃアカンよな、とね。
■ヌボーっとしながら、狂犬クラスの欲望が渦巻いていた。
※だいぶ原曲とバージョンが違います…
このアルバム唯一の「アッパー」なナンバー。逆のパターンは数多くあれど、このパターンは珍しいなと思います。
そして毎度毎度ですが、五十嵐氏の歌詞はえげつない。
皮膚感覚は麻痺して
脳細胞は死滅して
ラクダみたいな顔して
欲望は狂犬みたいで何だかんだ理由繕って
内心じゃほくそ笑んでて
分かりきったような事言って
一人悦に入ってたりして(落堕/syrup16g)
これも、まさに中二の私と重なると言いますかね。外向きの感覚は殺しながら(だからラクダみたいにボーっとしていた)、中では性的なモノやら、学業の成績とか、未来像とかなんとかかんとかが渦巻いていましたもんね。いわばムッツリ状態ですよね。
これだけの「とっ散らからかった心の動き」を、よくここまで精緻に描ける(というか、本人も体験しているであろうリアルさがあります)なぁ、と、月並みですが「すげぇ…」って毎度思わされています。
■昨日より、今日がすばらしいのは当たり前、なのか。
で、こんな感じで内面が大きくささくれ立っていた当時、ロッキンオンTVを見始めたばかりで、すぐに兵庫慎司氏がゴリ推すように紹介していたのがsyrup16g。
ぶっちゃけ、最初はいいバンドだなとは思ったけど、そこまでゴリ推すほどか?ってのが素直な感想でした。しかし、この曲を聴きこんでからというもの、じんわりと、突き動かされるように人生が変わったのを思い出しますね。
昨日より今日が
素晴らしい日なんて
分かってる そんな事
当たり前のことさ
(reborn/syrup16g)
昨日よりも、今日の方がもっと辛い…
そんな現状を過ごしていた私には衝撃でしたね。昨日より、今日の方が素晴らしい、ということを「当たり前」にしようとしていたか?このときに、私から発せられた答えは完全にNOでしたからね。このときに思い直したんですよ。今までやらかした分を取り返すためにも、優しく生きて、それこそまた「生まれ変わる」んだと。
そのかいあって、学年が変わるころには人間関係も回復して、ぶん殴りにいった不良とは勉強を一緒にやったりとかもして、生き直すことができたんですよね。
ホント、人生の中で「音楽に救われた瞬間」があったとするならココなのは間違いないと思います。
■ほの暗い中にも、光差す希望がある。
私にとって、こんなストーリーがあったのがこのアルバムです。
今回取り上げている3曲には、やはり「強い共感」があったんですよね。後にも先にも、コレを超える「共感」は今のところ、体感していません。
全体としてアコースティック基調で、syrup16gの作品群の中でも極めて「静か」であり、ほの暗い、内省的なアルバム、と私は認識しています。ただ、そのほの暗い中に、光差すような希望も感じるのがこのアルバムですね。
特に今、ざっくりとでも、具体的にでも「生きづらい」と感じているあなたに聴いてほしい。心のどこかに、光が差し込む瞬間がきっとあるはず。