「悪魔の呪文」が響き渡る。
Focus at the Rainbow/Focus 1973年10月
Focus III
Answers? Questions! Questions? Answers!
Focus II
Eruption (Excerpt)
Hocus Pocus
Sylvia
Hocus Pocus (Reprise)
彼らとの出会いは、実はニコニコ動画。もう見た瞬間に、まずあっけにとられましたよね。えっ、これアリなん?っていう衝撃と、もしかしてこれはとんでもないバンドなんじゃないかっていうザワザワ感が立ち上ってきたんですよね。こうしちゃおれん!とタワレコに速攻で行ったのを思い出します。
なんせ、もうとりあえず見てください。説明だけではとてもじゃないけど追いつかないんで…
■引き出し、どんだけあんねん!
この楽曲の邦題が「悪魔の呪文」。
のっけから、ヤン・アッカーマン氏(Gt.)のもはや「なんじゃこりゃ!」っていうカッコよすぎるギターリフもスゲー!って思ったんですが、この曲は何よりもうテイス・ヴァン・レール氏(Vo./Keyなど)の多彩どころの騒ぎじゃないボーカルスタイルがとんでもないですよね。なんというか、まだ引き出しありますか?っていうね。そしてその引き出しがキーボード以外から何度も出てくるところがハンパやないです。
で、何度も何度も聴いていると、メインリフを構成しているテイス氏のコードワークの美しさが根幹をがっちり支えているな、って思うようになってきました。耳残りの良さはここにもヒントがありそうです。
とにもかくにも、耳に染みついて離れなくなる、クセの強い楽曲だと思います。
■オペラをプログレッシブに昇華した、懐かしさを呼び起こす組曲。
さっきのインパクトがかなり強いとは思うんですが、フォーカスはむしろ、こういう綺麗で美しい楽曲が持ち味のテクニックありきのバンドである、と私は思います。
こちらの楽曲、実はフルサイズだと23分ぐらいあるんですが、抜粋して披露する多い(当アルバムのバージョンはハーフサイズ)な組曲構造になっている楽曲です。この楽曲のモチーフはヤコポ・ペーリ(世界最古のオペラ作曲家)の作品らしいんですが、原曲の雰囲気を壊さずに、プログレッシブなロックミュージックへと昇華している様は圧巻です。
※ちなみに原曲はこちら。
フォーカスの音楽を聴いていると、どこか「クラシカル」な、肉体に宿る懐かしい感覚が呼び起こされてくるんですよね。この懐かしさが、心を鎮め、深いリラックス状態へと導いてくれると思います。
■とにかく、ギターのメロディが美しい!
おそらく、今回ご紹介する楽曲の中ではもっともポップな作品がこちら。ギターの美しいメロディが、口ずさめそうなほどの明快さを誇ります。
ヤン・アッカーマン氏は、ものすごい速弾きもさることながら、美しいメロディーも大事に出来る、稀代のギタリストだと思いますね。さすが、メロディ・メーカー誌での人気投票でそれまでの10年間連続でギタリスト部門のトップにいたエリック・クラプトンを抜いてトップに立った実力は伊達じゃないと思いますね。
そんな彼のメロディの美しさに、どっぷり浸れる楽曲です。
■「ロック」と「クラシック」の橋渡し。
改めて聴いてみて、フォーカスは「ロックミュージック」と「クラシックミュージック」をうまく橋渡しできているバンドだなと思いました。どっちを聴く耳で聴いても、新しいというフィーリングと同時に、なつかしい気持ちにもさせてくれる、とても珍しいバンドです。
クセになるものすごい変化球を持ちつつも、それがなくともメロディの良さでも勝負できる「剛速球」も持ち合わせている、すばらしいバンドだと思います。
★この記事で紹介した楽曲はこちら。
<アルバム>
<楽曲>