いろんな意味で「アツい」。
凡 to be Wild/BAZRA 2004年1月21日
ジャンプ
明かり
家
凡凡
白く塗れ
楽しい悪夢
岩
8:30
ジェラス
棟梁
キッチン
解放の音
彼らとの出会いはスペシャ。その熱く燃えたぎるような声が耳に焼き付いて、すぐに気になる存在になりました。ただ、セールスが振るわなかったようで、なかなかTSUTAYAで見つけることができず、結局ようやく見つかったのは○ックオフだったかな。
彼らの持ち味は、そのハードコアでゴリゴリしたファンキーなサウンドに加え、井上鉄平氏の暑い(こっちの方がしっくりくる)ボーカルスタイルで、とにかくマグマのように温度の高い音楽性。彼らは北海道出身ですけど、意外ですよね…。
なんせ、クセはかなり強いですが、はまったらホントガッツリはまれます。それではまず代表曲からお送りします。
■哲学がせめぎ合う中に、ザクッと盛り込まれるキラーフレーズ。
イントロからベースとドラムのせめぎ合い。そこに明快なパワーコードのリフでドンっと乗っかって来るボーカル。非常に暑い、ですよね。ただ、暑いって言ったらどうしても「オシャレ」とかそういう類の言葉とは対極にいきがちですけど、コードワークは非常に繊細で、ピシッとクールにまとまっているんですよね。
で、ボーカルの井上氏はどうやら「スピリチュアル」にも造詣が深い(以前、ロキノンのインタビューで、石の力でポリープが消えたって話をしていたような…)のか、歌詞がものすごく哲学的かつ、難解なんですよね。
勇敢な咬創と精巣
洗礼名は鳩麦茶
誰も彼も腐って
喜々と勇み講釈す(ジャンプ/BAZRA)
ぶっちゃけ、全然わかりません。いまのところ。咬創とか、ぶっちゃけ初めて聞いた日本語ですしね。ただ、そういう中にザクッと、キラーフレーズが盛り込まれているんですよね。
傷つけられた 昨日よりも
傷つける今日が 悲しい
次の言葉を待っていても
同じ心にはかえれない
まさにこれ、「いま、ここ」の境地ですよね。過去「あった」ことはしゃぁないけど、いま、やってしまうことって取り返しがつかないんですよね。
だからこそ、いまを大切に生きろっていうメッセージなのかな、と思います。
■あなたは本当に「パリピ」になりたいのか?
16分のギターカッティングが爽快なファンクナンバー。メインのスライドを多用したリフも非常にカッコイイです。
この曲も、やはり哲学的過ぎてわかりにくい…っていう中に、ポンッとドキッとするような言葉が盛り込まれているんですよね。
夜が騒ぐから 無理をして
今夜騒ぐから 無駄になる人はみんな理解を 求めながら見失う
自分の事ほら全部 世界中に散らばるのさ(凡凡/BAZRA)
この「夜」がものすごく抽象的ですけど、私が連想したのはいわゆる「パリピ」的な世間のことなのかな、と思ったんですよね。もちろん、それを目的にして生きているならばそれはそれ。だけど、その「パリピ」的なノリを、本当にあなたは求めているのか?っていう問いかけをされているんだと思うんですよ。流されてるんじゃないか、とね。
で、分かってほしいと思いながらも「他」の意向に流されていくから結果的に自分の中に自分が不在、散らばってしまう、ってわけなんですよね。
こういうハッとする問いかけを熱をもって伝えられることが、私はカッコいいな、と思うんですよね。
■分かり合えなさから来るもどかしい表現が、生々しい楽曲。
※動画なかったですので、iTunesを…
こちらは非常にわかりやすいラブソング。水と油になぞらえた二人の関係を「キッチン」という家庭内のワンテーマで描いた、いわゆる「狭い範囲」のラブソングです。
ガスコンロが熱弁ふるう
余熱で微熱 少しか照れる俺は油 お前は水だ
蒸発して ひとつになろう
寄せあう頭おお はしゃいでた 口をつくその台詞も
おお むなしく 排水口へと消えた(キッチン/BAZRA)
熱っぽく語ってみたはいいけれど、そんなことはもうどうでもいいというか、どうせ伝わらんと言うか…寄せあいつつも、その言葉が中空(排水口)に吸い込まれていくさまが、リアリティをもって表現されています。
そんで、演奏面もいいですね。ギターはコードの全音符でキッチンに広がる静寂感が伝わってきますし、ベース、ドラムは「男の内面」のうごめきを静かながらも体温が伝わるような音使いで、非常にしっくりきます。
このダイレクトではないんだけど、分かり合えなさから来るもどかしい表現が、生々しい楽曲ですね。
■とにかく「アツい」バンドです。
しかし、BAZRAももっと知られてもいいバンドだと思います。現に、ジャンプのPVのコメント欄には海外の方から「もっと売れていいだろ」的なコメントも入っています。それぐらいに、技術面も含めてアツいバンドだと思います。
ぜひ一度、この「熱」に、触れてみてほしいと思います。
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