彼女たちは、メタル発展のカギを握る「レジスタンス」。
METAL RESISTANCE/BABYMETAL 2016年4月1日
Road of Resistance
KARATE
あわだまフィーバー
ヤバッ!
Amore - 蒼星 -
META!メタ太郎
シンコペーション
GJ!
Sis. Anger
NO RAIN, NO RAINBOW
Tales of The Destinies
THE ONE
今年聴いたアルバムの中でも、超が付くほどヘビーローテーションしているのがこの一枚。
前作に比べ、メタルらしさが数段アップ(王道のメロスピ「Road of Resistance」、おそらくはメタリカの「St.Anger」へのオマージュらしい「Sis.Anger」、X JAPANの「Endless Rain」を彷彿とさせる美メロ際立つ「NO RAIN, NO RAINBOW」など)し、楽曲面からはいわゆる「アイドル」のような像は大きく薄れていったのがこの作品。
ただ、それがかえってSU-METAL(Vo.)の存在感を際立てたように私は感じるんですよね。アイドルというフィルターを通して見ていたときの彼女たちと違い、肚の座った「いち、アーティスト」として以外に見ようがない、ぐらいに強い説得性が生まれてきたように思います。いわゆる「メタル」らしさ、とはまた違うとは思いますけど、とても真っ直ぐで誠実な歌声ですよね。
そんな「ドストレート」なこの作品。本日は特に魅力的な3曲に絞ってお話ししたいと思います。
■愛よ、地球を救え!
愛の言葉 響け夜空へ
宇宙まで届けて Amore
憂鬱な雨雲破って
24時間走り続ける
走り続ける運命
愛よ 地球を救え
(Amore -蒼星-/BABYMETAL)
この最後のフレーズを聴いて真っ先に思い出したのが、某長時間放送のTV。
愛は地球を救う、だのなんだのと言ってるけど、実態は救うどころか真っ黒だって話を聞いて、やっぱ、キレイゴトじゃいかんのよ、って思ったんですよね。あのテレビから感じるのは、非・主体的な「救われることを期待している感」で、そのために感動というエサ(24時間、走り続けてますやん?w)をばらまいて集金する、っていう愛からは程遠い姿なんですよね。
だから私は、愛に救いを期待するんじゃなくて、愛を従えて「救え!」って強気に出るぐらい攻撃的な姿勢を出してちょうどいいんじゃないの?って思ったわけですよ。それこそ、チャンスの前髪だって、掴もうとするからようやくつかめるわけでね。
それはさておき、聴きごたえ抜群のギターソロをはじめ、メロディーも非常に美しい、完成度の高い楽曲だと思います。
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■意味はなくとも、謎の感動が味わえる楽曲。
今回も「上田節」が炸裂してますよねー。(作曲者の上田剛史。ex.THE MAD CAPSULE MARKETS)ブレイクビーツのようなドラム、歪みまくりのギターから呼び起こされる高揚感がスゴイです。前作「ギミチョコ!!」も素晴らしかったですが、今作もお見事だと思います。むしろこっちの方が私は好きかも。
この曲、歌詞はほぼ、意味はない感じなんですけど、メロディー・楽曲構成の王道的な良さからなのか何なのか、謎の感動を呼び起こされるんですよね。最後のアルペジオから、あわだまが消えていくような切なさを感じます。
感情が動く楽曲って、わけもなく…ってこと、やっぱあるんやなぁと再確認する、そんな一曲です。頭ではなく、ココロへとダイレクトに訴えかけてきますよ。
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■恐れずに、真っ直ぐに進む彼女たちの「所信表明」。
アンセム性の非常に高いオープニングナンバー。ドラゴンフォースのサム・トットマン、ハーマン・リがレコーディングに参加しており、いかにもメロディック・スピードメタルと言わんばかりの「技の応酬」が見られます。これも、音楽がなーんもわからなくても「おー!」ってなるギターだと思います。加えて、おぞましいほど爆走するドラムもめちゃくちゃカッコいいです。
※余談ですが、サム・トットマンによると「ライブにはおそらく出んから難しくしたれ!」って思ってフレーズを作ったところ「ライブ出ろ!」ってなってしまい、死ぬほど練習したとか…(笑)
それはさておき、この楽曲の大事やなって思うところは、彼女たちの所信がガッツリ、ストレートに表明されているところなんですよね。
命が続く限り
決して 背を向けたりはしない
今日が明日を作るんだ
そう、僕らの未来
On the way(Road of Resistance/BABYMETAL)
シンプルながらも、誰でもわかる言葉、ですよね。こういう強い言葉って、発することに結構勇気が要ると思うんですけど、SU-METALに恐れはないですよね。ほんと、真っ直ぐ。ダイレクトにドーンと届いてきます。
勇気をもらえる楽曲だと思います。
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■彼女たちは、メタル発展のカギを握る「レジスタンス」。
正直、ちらほら「メタルをナメてる」とか、BABYMETALに対してそういう意見も散見しているのも事実。私自身、ハッキリ言ってメタルに関しては非常にリスナー歴が浅い(大学生になってから。正直珍しいと思います)ので、いわゆる「ルーツ」としての憧憬はないんで、いわゆる「詳しい」方々に比べると、思い入れとしては劣ると思いますし、いわゆる「様式」部分に関しては、わからない部分も多いです。
ですが、このアルバムは紛れもなく「カッコいい」と私は思います。サウンドの完成度は高いと思いますし、何よりその批判される「ナメてる」っぽく映る「アイドル的カリスマ性」が、メタルという敷居の高さを下げて、発展のきっかけにも繋がっていくんじゃないか、そんな風に思うんですよね。
そういう意味でも、彼女たちは「道を切り開くレジスタンス」なんだと思います。
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