想像だにしなかった、新しさ。
先日、実家に帰った際に、なんとなくうちの父のCD棚を見上げると、このジャケ写が目に入りました。ユーミンの「荒井姓」時代のアルバムを集めたBOXセット。すると、ふと、そういえば、ユーミンについてぜんっぜん知らないなーって思いが出てきたんですよね。その日は実家から住処に帰る直前の、荷づくりをしなきゃいけない時間帯だったんですが…そんなことも気にせずいそいそとiTunesにインポートしまくって、帰りの電車の中で聴こう、と思っていたんです。
で、まず前提として話しておく必要があるのが…私のユーミンに対する知識は…「松任谷由実は知ってるけど、荒井由実って誰だ?」ぐらいのラインからスタートしていて(つまりは、松任谷由実が先行している)、知ってる曲は超有名曲(春よ、来いとか、真夏の夜の夢とか、あとはジブリ映画系で聴いた曲。その辺り)のみ。なおかつ、オリジナル、ベスト問わずアルバムを聞いたことは一度もない。こういう状態からスタートした、っていうこと。
ほんでまた失礼な話で大変恐縮なんですが、時代を考えても「今聴いたら、旧いと思うだろうな…でも古典として聴けば勉強になるだろう」みたいな気持ちが少なからずあった、ということ。そりゃ、良いのは良いんだろうけど、いま聴いたら「あぁ…」って思ってしまう部分もあるだろう、っていう前提もあったということ。
で、現在どうなっているかというと…たった一週間で、このBOX内の5枚のアルバムをすべて5周近くしているというヘビロテっぷり。完全にはまったと言っていいと思います。では、そんな状態の私おススメの楽曲について、ベスト盤を除く各アルバムから一曲ずつ、お話ししたいと思います。
■聴いた人が描く景色は、割と共通のモノなんじゃないか。(ベルベット・イースター)
ベルベット・イースター 1973年11月20日(AL:ひこうき雲収録)
イースター時期のはっきりしない天気のモヤっとした雰囲気と、そのモヤっとした季節を越えて春(気持ちの上でも、実際の季節も)が訪れる、っていう現実が、これしかないやろ!ってぐらいの必殺のメロディで描かれている楽曲。
楽曲としては決して明るく、抜けがいいわけではないけれど、ただ、一歩踏み出そうな、あふれ出しそうな思いが特にサビのメロディから漏れ出てきています。
おそらくですけど、聴いた人が描く景色は割と共通のモノなんじゃないかと思うんですよね。歌詞を読みながら、メロディを追いかけてイメージを膨らませていくと、それこそジブリアニメの主人公の少女のような画が浮かんできます。
季節としては、まだまだイースターの時期は「冷たい季節」ですけど、心の中はほっこり温かい、そんな楽曲だと思います。
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■一枚のはがきから生まれた、島に贈る一曲。(瞳を閉じて)
瞳を閉じて 1974年10月5日 (AL:MISSLIM収録)
こちらの楽曲は、以下のようなエピソードを持つ楽曲。
長崎県・五島列島の中心部に位置する島、長崎県奈留町に属している。1973年頃の事と思われるが、この島にある高校の一女子生徒が当時深夜放送のパーソナリティをし ていた荒井時代のユーミンに葉書を送った。
内容は、当時この高校は分校で学校の行事で歌うのは別の島にある本校の校歌であり、校歌の無い自分たちの高校のために校歌を作って欲しい、というものだった。ユーミンが、その葉書に感動して作ったのが「瞳を閉じて」 である。
結局この歌は校歌とはならなかったが、今ではその高校のみならず島全体の愛唱歌となっているそうである。
この一枚のはがきで曲書いちゃうユーミン氏もすげーと思いますけど、曲がそのニーズにきちんと答えられていますよね。個人的な趣味に過ぎないメッセージではなく、島の情景がきちんと浮かぶような歌詞になってますし、爽やかな海を想起させるサウンドも相まって、この上なく気持ちいい楽曲になっています。
いまもこの曲、島で愛されているそうで、納得ですよね。
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■周囲のレベルを完全に引き離すほど、孤高レベルで新しい音楽だったんじゃないか。(COBALT HOUR)
COBALT HOUR 1975年6月20日 (AL:COBALT HOURより)
この曲は一気に先鋭的になりますね。カッコいい!ユーミン、もっとしっかり聴こう!って決意したきっかけは間違いなくこの曲です。
※カバーしか映像が見つかりませんでした…けど、これもカッコイイ。
中でもベースがハンパなくうねりまくり、ギターは超が付くほどファンキーなカッティング。コレ、弾いてみたいなと思いましたもんね。当時(1975年リリース。マジかよ)はもう、周囲のレベルを完全に引き離すほど、孤高レベルで新しい音楽だったんじゃないかと思います。いま聴いてもなーんの違和感もないです。
とにかく、聴いてみてくれ!としか表現できない自分がもどかしいですが、ホントカッコいいです。
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■「傷を乗り越えた上での」素直な思いがつづられた、大人の失恋ソング。(Good luck and Good bye)
Good luck and Good bye 1976年11月20日 (AL:14番目の月より)
こちらはムーディーな、「大人の失恋ソング」。この曲が大人だなーと思ったのは、楽曲があくまで「温かい」っていうこと、そして、歌詞にしたためられた「傷を乗り越えた上での」素直な思いですよね。
※まずは聴いてみてください…。
今はもう別々の恋人が待つ場所へと
降り出した雨に追いたてられて
急いでゆくのよやっぱりあなた 送ってほしい
わたしのバスが 遠く消えるまで(Good luck and Good bye/荒井由実)
これはやられましたわ。めちゃくちゃかわいいじゃないですかこんなん。何かが一瞬始まりそうに、男としては思ってしまうけれど、そこには明確な「終わっている」という一線が引かれているんですよね。だからこそ、より切なさが強調されてきますよね。
そんなリアルな感情をスッと引き出してくれる、描写力の高さがすごいなーと思う一曲です。
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■音楽的な守備範囲が本当に広い!
今回、ユーミン氏のアルバムを聴いていて一番すごいと思ったのは、音楽的な守備範囲の広さ。ロックからジャズから、ムード歌謡からワールドミュージック…もはや、ポップ以外に形容しようがないほど、クロスオーバーされていて、消化し切っているってことがとんでもないなーと思います。
そりゃー、これだけの深い情報量があれば、色あせるなんてこと、ないですよね。私自身、まだまだ数回程度のリスニングでもこれだけの情報量を引き出せるんですから、計り知れないボリュームを感じます。
そういえば、2010年代でもオリコン1位を取ったそうで…これで、1970・1980・1990・2000・2010年代と5つの10年代連続でアルバム売上首位を獲得っていう歴代一位の記録を塗り替えた、とのこと。末恐ろしい。アルバムのトータルリリース枚数は38枚。
果てしないですが、その足跡を追いかけてみてもおもしろいんじゃないか。
そんなことを想わせてくれた、珠玉の作品群だったと思います。
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<アルバムBOX>

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<アルバム>

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