いちいち、音楽を考える。

音楽はフィーリングも大事だけど、いちいち考えてみたくなるんです。

「気持ちの悪い、偏執的な部分」、それもまた愛。(Different Class/Pulp)

偏執もまた、愛。

 

Different Class/Pulp 1995年10月30日

Mis-Shapes
Pencil Skirt
Common People (Full Length Version; Album Version)
I Spy
Disco 2000 (Album Version)
Live Bed Show
Something Changed
Sorted For E's & Wizz
F.E.E.L.I.N.G.C.A.L.L.E.D.L.O.V.E.
Underwear
Monday Morning
Bar Italia

実は、Pulpに出会ったのは、ごくごく最近のこと。

暇すぎてやることなくて、実家でなんとなく「懐かしのビデオ特集」的なヤツ(MTV)を観てたとき。実は私、グラムロックはほんっとまだまだ馴染みが薄くて、はじめて彼らの音楽を聴いたとき「なんじゃこりゃ!」っていう衝撃を受けたんですよね。特に、年齢を重ねるごとに新鮮な衝撃ってどうしても薄れていくのもあって、これは非常に画期的な体験になりました。

なにが新鮮だったかって、ボーカルを務めるジャーヴィス・コッカー氏のフランス人っぽい佇まい(最初フランス語かと思った)に加え、見ようによっては「キモイ」とも感じるセクシャルな部分あふれるパフォーマンス…そして、ピコピコしたドリーミーでポップなサウンド…残って残って、しょうがなかったです。さっそく、名前を忘れないようにメモして、YouTubeを何度も何度も見返しましたね。

今回はそんな彼らの最大のヒットアルバム「Different Class」から、コレをぜひ聴いてほしい!っていうおススメの3曲についてお話しします。

■「テメーは貧乏がカッコいいと思っているからな!」

 

PVがもう、示唆的過ぎてあっけにとられましたよね。ジャーヴィス氏の存在感が抜群すぎて…

しかも、この曲ですごいなと思ったのが、歌詞を理解する前に「間違いなく、相当な皮肉が含まれているに違いないな…」ってのを視覚的に訴えることもできているところ。どう見たって、ハイクラス風な人間が「ダサく」感じられるように描かれていますしね。

で、この「ダサさ」の正体っていうのが、いわゆる「世間ズレ」にあると思うんですけど、ジャーヴィス氏は「実体験」を元に、こんな形で歌詞にしたためています。

She came from Greece she had a thirst for knowledge,
She studied sculpture at Saint Martin's College,
That's where I,
Caught her eye.
She told me that her Dad was loaded,
I said "In that case I'll have a rum and coca-cola."
She said "Fine."
And in thirty seconds time she said,

"I want to live like common people,
I want to do whatever common people do,
I want to sleep with common people,
I want to sleep with common people,
Like you."

(Common People/Pulp)

金持ちの留学生の女の子に「あなたみたいな普通の生活がしたい」と言われたっていうね。このワンフレーズだけでももうイラッとしますもんね(笑)。お前のいう「普通」ってなんぞや、ってね。ただ、ジャーヴィス節はここで止まりません。

Sing along with the common people,
Sing along and it might just get you through,
Laugh along with the common people,
Laugh along even though they're laughing at you,
And the stupid things that you do.
Because you think that poor is cool.

一応ね、この歌詞の前の部分では「スーパーマーケット」に連れてったりとかして、普通を体験させてみようとトライしていくわけです。でも、どうやったって結局は「そんな身分」じゃないからわかりっこないってことをガンガン皮肉っていきます。で、極め付けが「テメーは貧乏がカッコいいと思っているからな!」っていう痛烈すぎるメッセージ。ただ、スカッとしましたね。正直。

楽曲が「夢があるような」フィーリングを醸しているだけに、この痛烈なメッセージが効きますよね。まさに「夢」と「現実」を両立した名曲じゃないかと思います。

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Common People

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  • ロック
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■心ひとつでアンタらが持ってるもの、手に入れるぜ?

 

曲順が前後しますが、こちらがオープニングナンバー。

この曲もまた「クラス違い」が題材になっている楽曲なんですが、抗う「強さ」がメッセージから溢れているんですよね。

We want your homes, we want your lives,
we want the things you won't allow us.
We won't use guns, we won't use bombs
We'll use the one thing we've got more of - that's our minds.

(Mis-Shapes/Pulp)

俺たちは「身分が高い奴らの」暴力的な手段じゃなく、心ひとつでアンタらが持ってるもの、手に入れるぜ?ってことを、真っ直ぐに主張しています。シンプルに、カッコイイなと思いましたね。言いたいコトを、きちんと言える強さは私も見習っていきたいところです。

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Mis-Shapes

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■「気持ちの悪い、偏執的な部分」、それもまた愛。

 

こちらは楽曲単体で見ると、もっとも分かりやすいディスコナンバー。今日の3曲の中では一番、メロディーらしいメロディーが乗っかっている曲です。歌詞の中身は情けない男の未練がつづられています。

※歌詞は以下のリンクからご覧ください。

www.azlyrics.com

この曲もまた、少し英語が分かれば内容を判別できる、イイPVだと思いますね。画面越しに「幼馴染のデボラ」を見守り「思い出さないのか!」と迫る、ちょっとストーカーチックな部分も垣間見えます。その上、画面越しから好きな女の子のその瞬間を観てしまう…っていう、なんとも言えない内容になっています。

PV・歌詞ともに、「気持ちの悪い、偏執的な部分」が垣間見えますが、それもまた愛なんですよね。ホント、ポップな曲でよかった…

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Disco 2000

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■懐かしさと、先見性、両方兼ね備えている稀有な作品。

しかし、改めて検証してみて驚いたのは、PulpのPVが非常に優秀で、なおかつ現代の「見て音楽を楽しむ時代」にもフィットしているってことですね。結局のところ、楽曲が好きなのはもちろんですけど、一番印象に残ったのはジャーヴィスの存在感、そしてPVのメッセージ性でしたしね。

95年の作品ですけど、その年代相応の懐かしさと、先見性、両方兼ね備えている稀有な作品だと思います。

 

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<アルバム>

Different Class

Different Class

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  • ¥1400

 <楽曲>

Common People

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Disco 2000

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Mis-Shapes

Mis-Shapes

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