いちいち、音楽を考える。

音楽はフィーリングも大事だけど、いちいち考えてみたくなるんです。

わかりやすくはない、けれど「ウソ」はない音楽。(ブルーズ/阿部芙蓉美)

表面は冷たいけれど、中身はあたたか。

ブルーズ

ブルーズ/阿部芙蓉美 2008年4月30日

ドライフラワー
on saturday
群青 ~album mix
太陽 (the swelling sun)
開け放つ窓 ~piano version
trip -うちへかえろ-
さみしいときはどうしている
なみだは乾かない
青春と路地
ぼくら平凡
chill
planetary

はじめて彼女の歌声を聴いたとき、なんと、か細い…って正直思いました。ただ、曲の全体像を捉えたときに、あぁ、この声じゃないと成立せんな、ってすぐに気が変わりました。

彼女が持っている温度はとても不思議。触った瞬間は冷たっ!ってビックリする部分もあるんだけれど、身体の芯はあったかい、っていう感じです。例えるなら、客観的に見ると薄幸そうなんだけれど、当の本人は案外幸せにやってます、っていうような…そういうイメージです。

音楽的にはフォーキーなアコースティックサウンドを細くも芯の温かい声が包み、ポップな仕上がりになっています。そんな彼女の作品からおススメ楽曲を3曲、ご紹介したいと思います。

■慰みを拒む姿に、静かなる「意思」を感じる。

 

いきなりゾワっとするようなボーカルから始まるオープニングナンバー。

この曲が聴けるかどうかで、はまるかはまらないか決まるってぐらいの、それこそ名刺に近い楽曲だと思います。(シングルではないけれど、それクラスのクオリティです)

なんせ、歌詞のストーリーと彼女の声ががっちりマッチしてます。

たしかな 愛は知らないけど あたたかい
あなたの胸に
私の全てはここで終わっても
この想いだけ届いてよ

渇いた花びら朽ち果てて地面に舞い落ちたの
気づいてる?
拾い上げなくていい
ただ忘れないで

(ドライフラワー/阿部芙蓉美)

花は枯れてしまったけど、それは自身の想いを貫いた結果。

「拾い上げなくていい」と慰みを拒む姿に、静かなる「意思」を感じますね。淡泊に見せかけて、強烈にディープな愛情。こういうのが、相手にグッと刺さっていくんですよね。

芯の強さを垣間見る、そんな楽曲です。

ドライフラワー

ドライフラワー

  • 阿部芙蓉美
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

■愛憎の葛藤を、シンプルながら複雑に描いた楽曲。

 

こちらもフォーキーなアルペジオから始まるダークな楽曲。

曲から受けるイメージ的には、群青というよりももっと色が濃い感じ。声の淡泊さが、心の実情よりも、見せる世界を淡いものにしているのかなと思います。そういう意味で、群青、ってタイトルはピタッと来ているのかもしれないです。

しかし、こちらの楽曲もディープながらも、リアリティに溢れた歌詞がつづられています。

憎しみ
愛しさ
違いはない
この胸がつぶれて溢れたものだから
流れていくのよきれいなふりをして
流れていくのか 私は

(群青/阿部芙蓉美)

愛憎で葛藤するさまが、わかりやすい言葉で語られています。あふれ出しそうな感情がひとりでに流れ出しそうなさまをふと、客観的な視点でみたときに「素」に近い形で「流れていくのか  私は」と驚きのような、そんな感情も描かれています。短く、温かく、だけども鋭さもある。単純なはずなのに、複雑。

力いっぱいではないけれど、心を掴まれる感覚があって、その手を離したくなくなるような楽曲です。

群青 ~album mix

群青 ~album mix

  • 阿部芙蓉美
  • J-Pop
  • ¥255
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■平凡であっても、それでも生きていく覚悟。

 

こちらは当アルバムの中では「曲調」に関しては明るい楽曲。おそらく、今日の3曲の中では最も聴きやすい楽曲だと思います。メッセージも、今までの楽曲の中で最も「抜けがいい」です。

できるだけ悲しまないでおくれよ
ひとりの部屋でわかりきったことを
特別なものなど何も持ってないと
胸を張ればいい

特別なものなど無い
無い
無エよ

この身さらして生きるだけ

(ぼくら平凡/阿部芙蓉美)

歌詞の前半では「特別なものなどない」ということに胸を張れなかったけれど、この引用したラスト部分では自分の身をさらしていく覚悟を決めて「生きる」という非常にタフなメッセージが込められています。

特別でない…それこそ平凡であっても、それでも生きていくっていうことに腹をくくると、人間、強いですよね。その覚悟こそが、特別な輝きへと繋がっているんだと思うんです。

ぼくら平凡

ぼくら平凡

  • 阿部芙蓉美
  • J-Pop
  • ¥255
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■わかりやすくはない、けれど「ウソ」はない音楽。

全体を通して聴くと、もちろん明るくわかりやすい、という感想は持てません。文字通り、聴きたい人は聴いてね、って感じの音楽ではあります。

ただ、ひとつ言えることは、このアルバムから溢れてくるものに「ウソ」はないってこと。売れようとして「寄せた」感じのフィーリングは皆無です。その分、はまったらクセになってずっと聴き続ける…そういうタイプの音楽だと思います。

★この記事で紹介した楽曲はこちら。

<アルバム>

ブルーズ

ブルーズ

Amazon
ブルーズ

ブルーズ

  • 阿部芙蓉美
  • J-Pop
  • ¥2037

<楽曲>

群青 ~album mix

群青 ~album mix

  • 阿部芙蓉美
  • J-Pop
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ドライフラワー

ドライフラワー

  • 阿部芙蓉美
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ぼくら平凡

ぼくら平凡

  • 阿部芙蓉美
  • J-Pop
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