いちいち、音楽を考える。

音楽はフィーリングも大事だけど、いちいち考えてみたくなるんです。

「奇妙」と「正統」の陰陽。(超能力セレナーデ/クウチュウ戦)

「クセ」になる以外の選択肢、マジでないんじゃないか…

 

超能力セレナーデ/クウチュウ戦 2016年8月3日

ぼくのことすき
インドのタクシー
アーバン
フルート
お願いUFO
魔法が解ける

クウチュウ戦との出会いは、クライアントさんとのカラオケ。

私、カウンセラーのお仕事をしているんですけど…音楽の趣味がなかなか重なる部分が多くて、カラオケを初めとして、非常に楽しい時間を過ごさせてもらってるんですけど、いつだったか、クライアントさんがカラオケでこの曲を歌っていたんですよ。

 

無論、出会いはカラオケでしたから、ボーカルのリヨがどんな声なのかは全く知らなかったんですが、「おもしろい曲」やなぁと思って、クライアントさんにバンドの名前を訊いて、家でYouTube見て「うおぉ、なんやこの声は!」ってなったんですよね。

そこからは、もう無意識のうちにこの浮遊感を味わいたくなって「ぼくのこと~ぉすぅき~ぃ」って口ずさんでましたよね。おぞましいほどの中毒性だと思います。ちなみにリヨのルーツは井上陽水…うん、納得。

ぼくのことすき

ぼくのことすき

  • クウチュウ戦
  • J-Pop
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

で、いろいろと楽曲を聴きあさるようになったんですが…このファーストインパクトをさらに上回る、度肝を抜かれたのがこの楽曲なんです…

■い、犬はたぶん大丈夫?

 

よけろよけろよけろ 牛だ
ぶつけたら神様に怒られる
よけろよけろよけろ 人だ
ぶつけたらタクシーをクビになる

(中略)

よけろよけろよけろ猿だ
ぶつけたら売り上げを盗まれる
よけろよけろよけろ犬だ
ぶつけてもたぶん大丈夫

(インドのタクシー/クウチュウ戦)

これ、おそらくボーカル・リヨが世界を放浪していた時のドキュメントなんだと思うんですけど…楽曲のサイケデリックさと相まって、超がつくほど不気味なんですよね。無論、途中のお経パートも。サビ部分ではスチールパンが鳴り響き南国調に…

で、これだけ自由なことをしていながらも演奏面がブレないのがこれまた素晴らしいです。全員かなりイイ技術してますけど、特にドラムのアバシリの精密かつ丁寧かつ基本を押さえてるドラミング、一部の作曲も務めるキーボードのベントラーカオルの安定性は出色。

インドのタクシー

インドのタクシー

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  • J-Pop
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ただ、これだけだと「上手いけどイロモノ」感が際立ってしまうところなんですけど、そうはさせじとこのアルバムを締めるのがこの一曲。

■「奇妙」と「正統」の陰陽。

 

一聴すると、インドのタクシーとは異なり、キレイなポップスって印象。

(ちなみに3曲めの「アーバン」もシティポップ調ですね。)

ただ、メインのピアノリフの難易度は相当なモンだと思います。あのスピードのリフを継続してリズムも安定して引き続けるのは並大抵の技術ではないですよね。ピアノは音像がぼんやりした楽器じゃないですから、ちょっとミスタッチするとかなり目立ちますしね。

それはさておき、この楽曲はリヨの美しいボーカルが際立っていますよね。どこまでも伸びるんだけど、微妙にノイズがかった擦れ声が本当にセクシーです。なんだろう、佇まいが中性的でありながら「オトコ」が見える感じ、と言いますかね。

で、この「キレイなポップス」があるからこそ、全体を通して見ると「奇妙」と「正統」の陰陽を拾えていて、バランスの取れた作品になっていると思うんです。

■文字通り、「クセになる」一枚。

なんせ、まとめると「クセになる」この一語だと思います。まとわりついて離れないフレーズセンスが光る作品だと思います。一度、何も考えずに、頭を空っぽにして聴いてみることをおススメします。

麻薬的な快感で、気持ちよくなれること間違いなしだと思います。

超能力セレナーデ - EP

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